セルフリノベーションで手に入れた
ビンテージ感漂うヨットのキャビン。
戸建て
エメラルドグリーンの海を
自分のものにできる贅沢空間
地図を頼りに訪れたのは、糸島に広がる別荘地。平屋と思しきその家に入って驚いた。窓の外に広がるのはエメラルドグリーンのビーチ。底に手がとどきそうなほど海水が透き通っている。黒一色で閉じた印象の外観からは想像できない、この開放感がじつにドラマチックだ。
「そうでしょう。私も初めてこの風景を見た時は感動しました。」そう話すのは[長崎材木店]の代表取締役・長﨑秀人さん。「ここはインターネットで何気に不動産情報を見ていて偶然知った物件です。築40年のくたびれた外観写真が載っていたんですが、よく見ると敷地の隣が海と書いてある。海好きの私としては放っておけない何かを感じて物件を見に来たんです」。
そこで目にしたのは、海岸沿いの崖にへばりつくように建てられたこちらの建物。潮風に耐えた外装も昭和を色濃く感じる内装も、くたびれた感が否めなかった。が、雨戸を開けると、息をのむような絶景。夕陽を望む部屋からは姫島も見えた。「まるで石垣島か竹富島のような眺めです。この段階で建築が持つポテンシャルを感じてしまいました」と嬉しそうに長﨑社長は振り返る。
不動産的価値がゼロの建物を セルフリノベーション
運命的なこの建物との出会いに、長﨑社長の心は躍った。「聞けば建物自体の不動産としての価値はほぼゼロだという。でも、私は何とかこの建築を再生したいという思いにかられました。しかも自分の手で、セルフリノベーションをしよう、と。それが1年半ほど前のことです」。
リノベーションのテーマは「ビンテージ感漂うヨットのキャビン」。もともと漆喰で仕上げてあった部屋の壁は、上からアンティーク調のミルクペイントを施すことに。地階にある2つの和室は、一室を洋室に、もう一室を琉球畳を敷いた和モダン空間へと仕上げることにした。赤茶色だった外壁や窓枠はすべて黒く塗装。時間を見つけては楽しそうに作業に出かける社長を見て、休日にはDIY好きな社員たちも手伝いにやってきた。
ゆっくりと仕上げていく HOBBY的リノベの魅力 長﨑社長をはじめとする〝チーム長崎〟が童心に帰ってペンキを塗ったり、床をはったり、木を伐採したり。それは家づくりの初心を思い出すワクワクする時間だった。長﨑社長はこの建物を「HOBBY」と表現する。「完成はまだまだ先。すぐに終わってしまっては楽しみがなくなってしまう。ゆっくりと時間をかけて、コツコツと作り上げていく。だからHOBBYなんです」。 ポテンシャルがある建物の魅力を現代のアイデアやセンスで活かし、次代に残していく。これは長﨑社長、ひいては[長崎材木店]の願いでもある。蘇った海辺のウィークエンドハウスは、古くても設計が確かな建物であれば、自分たちの手でいくらでも生まれ変わらせることができるのだと教えてくれる。
- 施主さんのこだわり
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まずはポテンシャルのある建物を選ぶこと。良い建築は愛情をかけていけばビンテージになります。安いからいい、というのではなく、自分たちが長期にわたり愛情を持って手入れをしていける建物かどうかを見極めてほしいですね。
- 施工した工務店