【CASE.01】賢いシングルはなぜリノベを選ぶ?

 

資産形成にメリット大
シングルこそリノベの時代

 

ある工務店の担当者が、「最近、シングルの人の相談が多いんですよ」とポツリとつぶやいた。家の購入を考えるタイミングは、結婚や昇格、出産などのライフイベントの変化が大きく影響するといわれてきたが、令和時代に入り、そのあたりの考え方にも変化が生じている。

ある調査によると福岡市の新築マンションは、2022年の平均単価が244.9万円。一戸平均4304万円。10年前の2013年比で、単価は約77%上昇している。

 

対して中古マンションは平均単価127.7万円。これも2013年比では約66%上昇しているが、新よりはずっとお手頃。リノベーションを施しても、10年前の新築マンションと同額ぐらいで抑えられる。

マンションの価格が上がっていることからも推測できるように、家賃も高騰し続けている。今は、専有面積が広いファミリー向け物件の上昇率が高いが、福岡市は政令指定都市の中でも10~20代が多い地域。今後は一層シングル向けの物件の家賃が上昇するとも予想されている。

 

そこで、金利の安い今、高騰する家賃を払い続けるより、購入して自分の好きなテイストの家を作って、資産として保持したいと考える人が増加。若年層の多い福岡市なら、いずれ賃貸や再販しても需要があるという賢い見通しもあるようだ。

 

そこで実際に中古マンションをリノベーションした3人を直撃。シンクルリノベのポイント、メリットを伺った。

 

CASE.01|シングルリノベーション (春日市・男性)

家具が引き立つ家を作りたい
設計から携わったワガママリノベ

 

インテリアショップで、お客様へコーディネートを提案する傍ら、家具のデザインなども手がけるHさん。大好きなインテリアが美しく見えるような家にしたい。その実現のため、今回は設計からリノベに関わった。

 

築49年の部屋をフルリノベ。こだわったのは各部屋の画角

 

各部屋を優しく、そして柔らかく照らす照明。大好きな明かりに囲まれて、Hさんは至福の時間を過ごす。
人気インテリアショップで店長を務めるHさん。家具のデザインを手掛けたり、多様なお宅に訪問したりする仕事柄、中古マンションを買って、リノベーションを施すことに「自分の好きな家ができるなんて最高」と、不安よりも高場感を感じていた。

 

 

一般的には、家に合わせて家具を購入するが、Hさんはその逆。
「自らがデザインした家具の配置や見栄えをイメージして、それが映える間取りにしたかったんです」と、設計から関わりたいとリノベ会社に掛け合った。

和室の多い昔ながらの3DK、築49年の築古マンションをフルリノベーション。コンクリートの駆体を生かした天井やアイアン建具のガラス戸によって、シックな1LDKに。

 

 

 

「こだわったのは画角。どこに立ったら何がどう見えるかを考えました」。1番のお気に入りはソファから見るダイニング。主役のルイスポールセンのベンダントライトが、ひときわ映えている。

 

 

家族構成が変わった時は売却を視野にした物件選び

 

「同じお金を払うなら、家賃よりも同じぐらいの支払いで購入できる物件を買ってしまった方がいい。それに、リノベを施せば、資産価値もアップします。今はシングルですが、将来的に家族ができたときは、売却することも考えて、駅から徒歩3分の物件を選びました」。

 

 

 

壁付けのキッチンにはウォールライトを付け、無骨な駆体の壁に上品さを加えた。スポットで照らし、配水管の関係で一段上がっているキッチンは、まるでステージのよう。「これまでのキッチンは狭くて『引っ越したい!』と思うくらいだったんです。でも、今のキッチンになってから自炊するようになりました」と、ライフスタイルに変化も出ている。
キッチンカウンターから見る寝室もまた、シンメトリーで美しい。

 

 

 

 

ここは元々、窓がない和室だった。
光を少しでも取り入れるため、リビング側の壁面上部を開け、縦にスリットガラスも入れて工夫。入口は鉄フレームとガラス戸で圧迫感をなくした。「明るすぎない優しい光で、朝は元々弱いのに、ぐっすり眠れてより起きられなくなりました」と笑う。

 

 

普段、インテリアなどをお客様に提案する立場のHさん。「自分の家で実践して、見本にもなればと思い、今回のリノベーションを機にインスタグラムを始めました。意外と反響もあるので、カウンターとか未完成な部分を早く仕上げないとですね」。空間作りの楽しみは、まだまだ続く。