リノベの成功は、綿密な「選択」が鍵!

立て続けにあれこれ決定すべきことが同時多発するのがリノベーション。
どの業者に頼む? どんな間取りにする? 満足度の高い住まいを手に入れたいなら、
先々にやってくる「選択」について予め検討しておくのがベスト!

株式会社リノベエステイト
代表取締役 松山 真介さん

「リノベーションは、〝人生にフィットする暮らし〟の手法」

我々リノベエステイトが提唱しているものに、〝家は一生のものではない〟という考え方があります。仮に、30代で結婚してマイホームを買う決意をするとします。子どもを授かることを想定して、または子どもを授かり、その子の部屋を用意したとしても、やがて子は巣立ち、また夫婦二人暮らしに戻る日がやってきます。このように、ライフステージによって必要な部屋数が変わるのです。「家」は一時期自分が所有するだけで、将来売却したり貸したりする可能性も大いにあるということも念頭に置きましょう。そんな時にぜひ、リノベーションという手段で住まいを変化させて、快適に住み繋いだり、誰かに渡したりして、価値のある「家」を作り上げてください。リノベーションは新築の反対語ではなく、住まいを暮らしにフィットさせる手段と考えています。
さてここでは、リノベーションを行なう際に直面する「選択」にまつわる良いヒントを申し上げます。参考にしながら自分らしく住み良いリノベーションを叶えてくださいね。

物件選びのコツ

戸建てもマンションも、「コミュニティ」の特色を検討せよ!

戸建ての場合は、町内のコミュニティがどうなっているかをまず考えましょう。その町に住むわけなので、町内の特色や周辺環境をよく調べること。これはもう大前提ですよね。

マンション(集合住宅)だと、その建物自体が一つの町となります。分譲は賃貸と違って、住人が管理組合の一員になりますし、その町内=コミュニティに入りたいかどうかも大きな決め手。中古マンションなら住人のコミュニティが見えやすいので、中古物件の方が「コミュニティ」選びしやすいと思います。

新築? リノベ済み?これからリノベ?

洋服で例えると、「既製品のスーツを買う」か、「オーダーメイドのスーツを作る」か。まさに家も同じで、「新築、またはリノベーション済み物件」か、「自分仕様にリノベーションする」かの二択があがりますので、まずはどちらが自分に相応しいかを考えてみてください。
ちなみに、新築物件の購入者は、10〜20年後に家が古くなり世帯数が変わったとしても、高額な住宅ローンが家計を圧迫してリフォーム費を賄えない状況だとか。だったら、新築物件にこだわらず、中古のリノベ物件で初期費用を抑えて、浮いたお金を将来のリフォームや、お気に入りの家具、+αの内装費に回した方が賢いのでは、と個人的に思います。

マンションは築20年辺りが狙い目!

データ的に見ると、マンションの住居は約20年で価格が半額になり、そこから横ばいで目減りが緩やかになります。と言うことは、築20年の集合住宅を買うとリーズナブル。これも物件選びのコツと言えますね。

マンションの中古住宅で気をつけること。

集合住宅では、「修繕積立金」と「管理費」が毎月発生します。家計的にはこの2つが安いと助かりますが、逆に安すぎると建物の修繕が十分になされない可能性があり、資産価値の下落の要因にもなるので要注意! 一方、戸建てになると自己管理。この2つのランニングコストを把握して、物件選びを進めてくださいね。

業者選びのコツ

リノベーションを依頼する会社選びの際は、その会社の得意分野を把握し、自分の考えや好みにマッチする相手を選びましょう。以前はリノベーションを手がける会社は少なかったのですが、現在はいろんなプレイヤーが現れ、選択肢が広がりました。例えば、デザイナーズホテルのようなプレミアム感や、DIYのヴィンテージ感などのテイストによって、または戸建・マンション・古民家といった規格によって、それぞれ得意な業者を選んだ方がいい。オールマイティーにこなす業者より、特異性がはっきりした業者の方が、完成度が高いと思います。
さらに目利きのポイントとしては、「建築」と「不動産」の両方を分かっている会社がスムーズ。「不動産」に強い会社は「建築」を分かってない場合があり、逆も然りなので注意。中古のリノベ物件の場合は、「物件価格」「諸費用」「工事費」などトータルの費用をきちんとはじき出せる会社がいいでしょうね。

間取り選びのコツ

必要なLDK数は、ライフステージによって変わってきます。例えば、結婚したての夫婦なら、広めの1LDKにリノベーションするのをおすすめです。将来子どもが増えた時はLDKを間仕切りして小部屋が設けられるように算段を立てておけばOK。シンプルで広い空間にしておくことで、部屋を増やしたり減らしたり、ライフステージに合わせた間取りの変更ができます。老後夫婦二人暮らしに戻った時は、また広めの1LDKに戻せば良いのです。実際に、長く住むならば、最初から複数の部屋を用意しておく必要はありません。柔軟な発想で間取りを考えてみてください。

物件の構造を事前に把握して!

鉄筋コンクリートのマンションには、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類の構造があります。「ラーメン構造」は、柱と梁でできている建物のことで、梁などが壊せないけれどリノベーションの自由度が高いです。また、「壁式構造」は柱や梁がなく耐力壁で全てを支えている建物のこと。壁が壊せないことが多く、間取りの再編集がしづらいのがネック。大胆な間取りの変更なら「ラーメン構造」の物件が良いでしょう。

照明選びのコツ

照明は天井に一個設けるのではなく、いろんなところにレイアウトしましょう。これを「分散照明(分散光源)」と言い、一つの空間に明かりと暗がりを作ることでムーディーな自宅になりますよ。そもそも日本人は光に対して繊細な感性を持っているはずなのに、いつしかメーカー産の天井照明が普及したことで、パカーッとした白い光で統一されて、雰囲気の欠片もなくなって残念です。壁に照明を当てたり、間接照明を取り入れたり、ベランダに一個設けるのも空間演出として効果的ですよ。

素材選びのコツ

予算には制限が付きものですよね。そこで必要なのは予算のメリハリ。自分の趣味・趣向・感性に合わせて、お金をかけたいところと、かけたくないところを編集しましょう。無垢の床材が好きな人なら、他の場所の費用を抑えて立派な無垢の床にすればいいのです。家具が好きな人なら、内装のコストを抑えてデザイナーズ家具に重点を絞ればいい。
ただし、断熱材などの機能面は、しっかり予算をかけた方が無難! 「イニシャルコスト(初期費用)」と「ランニングコスト(月々の費用)」、どちらを取るかです。月々の電気代・ガス代を安くするために最初にしっかり設備投資するか、とにかく初期費用を抑えるか。長い目を見れば断然、イニシャルコスト(初期費用)への投資をおすすめします。