リノベーションの一問一答

リノベーションへの興味が強くなるにつれ、頭に浮かぶさまざまな「?」マーク。
初歩的な質問から気になる素朴な疑問まで、リノベーションのプロが丁寧にお答え!
業界の今の流れや将来性までしっかり教えてもらいました!

株式会社ひかり生活デザイン
代表取締役 春口 治彦さん

福岡の分譲マンションのリノベーション割合は?

築年数によって違いますが、最近は中古の分譲マンションを再販する業者が増えてきました。中古マンションを購入し、リノベーションして売るのです。駅徒歩圏内の物件だと、おおよそ1/2〜3/4の分譲マンションが、きれいにリノベーション、またはリフォームして流通しています。リノベーションされた完成品に住みたいと思う人が選ぶような状況ですね。
逆に言えば、手付かずの中古物件を探すのが難しくなっているという見方も。自分たちで好きなようにリノベーションできる物件が少なくなっています。なので不動産情報を日々まめにチェックしてみてください。「これは!」という物件が見つかったら、直接問い合わせてみて。

リノベーション済み物件のメリットとは?

「完成されたリノベーション済み物件」のメリットは、売主が業者になることがほとんどなので、「瑕疵担保責任」が付いてくる点。瑕疵担保責任とは外部から容易に発見できない欠陥がある場合、売主が買主に対してその責任を負うことを言います。売主が個人だと、もし見えないところに瑕疵があっても責任を負わないと契約書上謳うことができ、そういう契約パターンが多いです。そうなると、売主が業者の方が安心かも。とは言え、業者によって契約&保証内容はさまざまなので念入りに注意を。

リノベーションする時、誰を頼りにしたらいい?

少し先の話から説明します。物件の申し込みから売買契約までの期間は、なんと約2週間と超タイトなんです。その間に銀行に事前審査を通さねばならなくて、この事前審査を通すためには見積書が必要。見積書がいるということは、ある程度のプランが立ってないと数字を出せません。これらを2週間で行なうのは厳しいですよね。なので、マンションとリノベーションとセットで依頼する場合は、物件を見つける前に、リノベーション会社を見つけることから始めましょう。担当者とコミュニケーションをとり、自分の感覚が伝わるか、相性が合うかのチェックを。例えば、北欧好きなら北欧テイストの施工事例をたくさんしている会社など、自分好みのテイストが得意な会社を探すと、プラン立ても実作業もスムーズ。あとは、価格帯のことを初めから話し合いしてくれる会社の方が付き合いやすいと思います。

自分好みにリノベーションすると高い?

それはあまり関係ないですね。安く抑えようと思えば、それなりの素材を使えば予算内で完成させられます。また、自分たちで素材選びなどに携わることで、住居に対する安心感は芽生えそうですよね。

リノベーションのセミナーは行くべき?

セミナーでは、必要な情報やためになる情報をたくさん収集できます。その会社のスタンスも知ることができるので、会社選びとしても有意義なはず。開催事項については、各社のホームページを一つひとつ見ないといけないのがちょっと面倒。そこで弊社の新プロジェクト「SUMATCH(スマッチ福岡)」では、情報を一元化する取り組みを行っています。公式ホームページ「SUMATCH」では、業者のセミナーやオープンハウスの情報を随時アップしているのでぜひ見てみてください!

物件探しの目利きポイントはある?

近年、街なかのアクセスの良いマンションの価格がどんどん上がっています。マンションを買うのであれば、「資産価値」を考えて、利便性のいい場所で探した方がベター。また物件を見つけた際は、契約する前にマンションの「重要事項調査報告書」の情報を見せてもらえるようにお願いしましょう。そこで管理費や修繕積立金の滞納や積立額などを確認することができます。併せて過去の修繕記録、今後の修繕計画、理事会の議事録を調べて、建物としての本質や信頼性を確認するのです。この「重要事項調査報告書」などの開示依頼は、最終的な検討材料として、慎重に聞いてくださいね。

今後発展しそうな街は?

リノベ賃貸に関しては「吉塚」が伸びそう。吉塚は町工場があったり、お寺があったり下町みたいな雰囲気で、博多駅まで近いのに空が抜けて広々としているんですよ。また、「西林寺」の副住職さんがマルシェやキャンドルナイトなどを主催し、面白い町づくりの試みも。これからますます盛り上がりそうだなと注目しています。
そして、蔦屋書店ができた「六本松」は今後もますます発展の予感。最近は個性的なお店も増えていますね。5年以内に地下鉄七隈線も博多方面まで延伸されますし、資産価値としても良いのでは。六本松の隣の「別府」も良さそうです。

最近の傾向はどんなもの?

千差万別なので「自由」が大前提ですが、価格帯の幅=スタイルの幅が広がっている気がします。以前は空間を広くすることがトレンドでした。ただ広すぎると光熱費のロスが生じるので、最近では無駄なくコンパクトな住まいにすることで予算を抑え、浮いたお金を暮らしや趣味に回す。そんな賢い世代が増えた印象です。
あとは、価格帯の二極化も広がったように思います。以前は新築なら35年ローンが一般的でしたが、今の30代は35年先を考えずに、ローコストの家を20~25年ローンで完済する人も多いですね。スタイルも価格も多様化しています。

リノベーションのアドバイスは?

せっかくなら、自分の好きなようにリノベーションしてください。その方が納得しますし、好きなものの中で暮らせます。
一方で、これから先、自分の好みも変わっていくし、流行りも変わることは念頭に置いてみて。テイストやデザインを凝りすぎるより、簡素くらいに作っておいた方が、後々のライフスタイルの変化に対応できますよ。また、自分仕様にカスタマイズしすぎると、次の買い手や、貸し出す時にお客が見つかりにくいという懸念もあるので、「簡素に作っておく」のがキーとなるでしょうね。

春口さんのリノベーション考察

住宅もこれからは「共創」の時代。例えば趣味を持つ人の集まりや、子育てをしやすい住宅や、ペットと暮らせる住宅など、同じ志向の人々が集まり付加価値を作っていく時代になるのでは。自分たちで住みよい環境を作っていけば、マンションが一つの町になり、共通の何かを持った人々で盛り上がり、環境が発展し、建物の付加価値も上がるはず。そういうリノベーションマンションが増えればいいなと思います。