ノベの

リノベエステイト

松山 真介
1968年福岡県北九州市生まれ。九州大学芸術工学部卒業後、一級建築士・宅地建物取引士として活動しながら、2000年に「モノづくり・ウワサづくり・売上づくりのデザイン」を理念に掲げたクリエイティブカンパニー[アポロ計画]を設立。現在は、同社の中に立ち上げた中古建築の再生に特化した事業部[リノベエステイト]代表として、多数のリノベーションを手がけ、合わせて一般社団法人リノベーション協議会九州部会会長も務める。サウナ・スパプロフェッショナルの資格を有するサウナー。

サスティナブルな提案で子どもたちの未来や地球環境に寄与したい。

カーボンニュートラルの実現にリノベができること

(一社)リノベーション協議会の九州沖縄エリアの部会長として、安全で快適なリノベを広く啓蒙するべく、加盟する工務店を集めての勉強会なども企画・実施している松山真介さん。

そこで頻繁に話題に上がるのが、サスティナブルな家づくりだ。政府が2050年までに温室効果ガス実質ゼロを実現することを表明したことを受け、2025年からは、すべての新築住宅に省エネが義務化される。だが、既存の住宅に適応される法律は、整備される見通しがない。

だが、松山さんは毎年のように発生する豪雨等の異常気象に、猶予はないと感じているという。「子どもたちの未来を考えたら、法律がないうちはしなくていいとは思えませんよね。だから、リノベであっても、一定の断熱性能を盛り込んだ提案をするようにしています。お客様に要望されて断熱をプラスする工務店もあるでしょうが、断熱のメリット、デメリットは、プロである私たちの方から丁寧に説明してあげるべき。しれば、メリットが大きいこともわかってもらえます」と松山さん。

 

子どもたちの未来や命を守るための〝断熱〟

「断熱性能をアップすれば初期費用は上がりますが、日々の光熱費は下がりますので、長い目で見れば、お得になるご家庭もあります。でも、最初の手出しが増えることに抵抗を感じる方の気持ちもわかります」と、躊躇する施主が多いことも理解している松山さん。

「でも、ここでもう一つ知ってほしい事実があるんです」と開いたのは、2023年の住宅省エネキャンペーン「こどもエコ住まい支援事業」のホームページだ。ホームページには補助金額や条件と同時に、急激な温度変化によって引き起こされるヒートショックで亡くなっている人が、交通事故の2倍に及ぶことが明記されていた。

「僕もこの数字を見たときは、リアルにショックでした。家の中が冷え切っているのは構造的な問題が一因ですから、それで人が亡くなるなんて、本来はあってはいけないんです」と悔しさを噛み締める。

 

1999(平成11)年の次世代省エネルギー基準の制定前に建てられた家(おおむね築25年以上)は、断熱レベルを見直すタイミング。阪神淡路大震災をきっかけに耐震基準が見直されたように、「今まさに、断熱元年が来ています」と断言する。

「嬉しいことに、施主の皆さんが地球や子どもたちの未来をよくしていこうと共感してくださっています。熱効率の良いリノベは、お客様と手を組んで、社会的な活動をしているという発想ですね」。

Works File 01

人の流れを変えた松山さんのフルリノベーション

松山さんが1964年完成のビルを購入したのは、2010年のこと。「BLDG64(ビルヂングロクヨン)」と名付けた古びたビルは、松山さんの企画、設計、デザインで見違えるほど生まれ変わり、この地に新風を吹き込んだ。現在、1階には話題のフレンチレストラン『TTOAHISU』が入居。2階は、施主とのミーティングで使っているショールーム兼ギャラリー。3階はシェアオフィス、4階はテナントオフィスが入居している。

BUILDER DATA

リノベエステイト
住所 | 福岡市中央区大手門3丁目12-12 BLDG64 2階
電話 | 092-406-8230
公式HP | リノベエステイト