“隠す”だけじゃつまらない!日々進化するリノベを楽しむ
マンション空間を壊すところからデザインしていこう
打ちっぱなしのコンクリートの壁、昔の間取りの跡が残る天井…まだ〝現場感〟が息づいているN邸。しかし、その無骨で荒々しい表情がとてもいい。
「昔から不動産をもっと可変的なものとして楽しみたいと考えていました。中古物件にも抵抗がなく、むしろ一度スケルトンにした空間にどのくらい手を加えたら住めるようになるのか興味があったほど。実験みたいに少しずつ変化させていけたらいいよねとふたりで話していたんです」とNさん。
ランドリースペース。昔のタイルを剥がすと現れたコンクリートの壁の表情が秀逸
パートナーに選んだ[リノベる。]は、検討していた中で最もヒアリングが丁寧な会社だった。物件探しから想像以上の提案力を発揮してくれたという。
Nさんが選んだ物件は、築47年の3DK。空間を仕切る壁を取り除けば広いワンルームが生まれる上に、三面採光という利点も活かせると考えた。
しかも、クロスや天板の裏にあったコンクリートの躯体や電気系統の配管など、スケルトンによって現れるものすべてが、Nさんにとって魅力ある要素だった。これらを隠してフラットな部屋を整えるのは簡単だが、「それじゃあ、つまらないし、もったいない」。気づけば「壊すところからデザインしていこう!」が、リノベチームの合言葉になっていた。
空間を解体しながら家具も造作
リノベーションプランは 解体された空間を想像し、組み立てていった。
たとえば、解体して現れた壁や天井の表情やコンディションを見ながら、空間ごとに合わせる素材を検討。オフィス向けのスチールラックや物流用パレットといった、住宅ではあまり使われないものを取り入れて空間に合う家具も造作した。
ステンレスとベニヤ材を組み合わせたキッチンはオーダー。IHはメンテナンスを考えて別付けにした。造作のダイニングテーブルは可動式。ゲストが集まる時は天板も広げられる
ソファベッドやダイニングテーブルなど、大きな造作家具には滑車をつけて可動式に。これで広くなったワンルームのレイアウトはシーンに合わせて変えられる。
「大切にしたのは、解体しながら造っていく感覚です」とNさん。見習いたいのは、肩の力を抜いて自由に、自分たちらしくリノベーションを楽しむ姿勢だ。[リノベる。]なら新しい試みもきっと一緒に楽しんでくれる。
PHOTO GALLERY
- 施主さんへのQ&A
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リノベーションしてよかったことは?
今のデザインに飽きたら色を塗るとか、次はどうするかを考えながら暮らしを考える楽しみがあります。新築よりも、手を加えることに抵抗が少ないと思います。
- 施主さんのこだわり
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どのくらい手を加えれば住環境ができるんだろう? わが家のリノベはその答えを探す実験的な試みでもありました。だから、できるだけ空間は壊したままの状態で、手を加えるのは最低限にしたいとオーダーしました。
- リノベーション情報
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- 設計:リノべる。福岡
- 施工:リノべる。福岡
- 築年:約50年
- 竣工:2021年7月
- 延床面積:55㎡
- 家族構成:2人
- 設計期間:1.5カ月
- 施工期間:2カ月
- 施工した工務店