新築のノウハウをリノベに詰め込んだ昔の面影を残す、新築のような暮らし
戸建て職人たちが新築で使う
技術を集結させた家
リビングに入ると、そこにはゆらゆらと炎が揺れる薪ストーブと天井の美しい梁、そしてジャズが流れていた。撮影した日と取材日は別だったが、取材に訪れた日は今にも雨がふりそうなどんよりとした日で、そのせいかリビングもしっとりと落ち着いた雰囲気で満ちている。まるで、日常を忘れさせてくれるハイクラスな高級宿―それが第一印象だった。
築50年になる奥さまの実家。当初はゼロから建て直すかリノベにするかで随分迷ったそうだ。自分たちも勉強しようと出張を利用して遠くは京都、滋賀の住宅見学会へ出かけて、新築やリノベの家を見て回った。しかし、いざ相談をすると、どの住宅メーカーも工務店もリノベには乗り気じゃない。なぜか新築を勧められる。そんなとき、気になる一軒の家を見つけた。「あれは星和さんが建てた家だよ」と他社の工務店さんから教えてもらった2人は、事務所がある小倉南区へと相談へ出かけた。奥さまは当時のことをこう振り返る。
「平屋だったこの家に2階がつくれるかどうかを星和住研の大工さんに確認してもらったんです。そのとき、ひと目見るなり『良い梁使っているね』と大工さんが言ってくれて。この一言で、新築ではなくリノベにしようと決めました」。
両親が結婚する前、祖父が親戚とともに山へ木を伐りに出かけ、近所の製材所で加工し、家を建てた思い出のある一軒家。木を一本運び出すだけでも、どんなに大変だっただろう。この家には、奥さまの祖父母や両親、姉妹が過ごした記憶が刻まれている。立派な梁など、お金には代えられない価値がある。その家を[星和住研]が新築で培った技術とデザイン、機能性をリノベに盛り込み、新しい家へと生まれ変わらせた。
良い会社との出逢いが
リノベの自由度を広げる
今回、50年前からの梁を活かしてリノベをしたMさんのご自宅。耐震補強のための材料は、すべてハンドプレカット(手刻み)。ノミやカンナを使って丁寧に削っていく。建具や家具は既製品を使うことなく、家の雰囲気に合うデザインを大勢の職人さんたちの手で一つひとつつくりあげ、重厚感のある仕上がりになっていく。こんなに自由度が高いリノベも[星和住研]ならではだ! これらの職人技に感激したご主人は、大工さんの作業風景を動画で撮影し見せてくれた。
「既成のものに頼らないリノベは、良い職人さんがいないと難しいということを今回学びました。新築に使う断熱材・セルロスファイバーを入れてもらうなど、新築以上の仕上がりで驚いています」。
- リノベーション情報
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- 設計:星和住研株式会社
- 施工:星和住研株式会社
- 築年:50年
- 竣工:2018年
- 延床面積:143㎡㎡
- 家族構成:2人(夫婦)
- 施工期間:10カ月
- 施工した工務店